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「患者さん自身とその家族の思い」について

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2018.04.25


先月、義父が脳卒中で入院しました。今は元気に退院してよかったのですが、入院直後に、はじめてお見舞いに行くと、会話も成立しないし、目もうつろで、とてもしんどそうな表情だったので、見ている方もとてもつらい気持ちになって、帰り際、非常階段のところで声をあげて僕は泣いてしまいました。あんなに元気だった義父が、突然こんなに元気がなくなってしまうなんて。見舞いに行くたびに、自分の無力感に打ちひしがれると同時に、担当の医師や看護師さんに何とか助けてほしいという、藁をもすがる思いでした。

その時にふと、自分が入院した過去の経験を思い出しました。過去3回全身麻酔の手術を受け、数週間入院した時のことです。その時の心細さや不安、痛みの辛さ、あるいは看護師さんや医師への感謝の気持ちなど、患者として普通に思うことを、毎日切実に感じる時間を過ごしました。普段、病院という場所が職場であり、患者さんと接するのも、いつも医師としてしか行動していない自分が、その時は完全に逆の立場に立ったわけです。

つらかった入院生活でしたが、先の義父の話も含めて、患者になる、あるいは患者の家族になるというような経験は、ある意味、すべての医師が一度は経験した方がいいと思います。患者さんとその家族の痛みを、自らのこととして常に意識するということは、診療に携わる医師の大切な心構えだと思います。からだと心の痛みを、つねに気遣い、その心に寄り添う姿勢というものが、医師としていかに大切かを、再認識できた2カ月でした。

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